事業報告

令和2年度

令和2年度のアーカイブ事業報告の一部となります。
当協会会報のデジタルデータ化と個人情報のマスキングを行いました。
抜粋し、1968年の「漫画100年展」に関係する以下4部のPDFを公開いたします。

12号・1967年10月15日発行
13号・1968年1月1日発行
14号・1968年2月1日発行
15号・1968年2月15日発行

令和元年度
漫画家と社会の相互作用について

幸森 軍也

 平成27(2015)年にはじめたメディア芸術アーカイブ推進事業は協会内に保管されているさまざまな資料をデジタル化、データベース化することで保存・可視化することが目的だった。約50年間の会員からの寄贈著書、ポスター、協会報、寄せ書きなどかなりの部分を管理・保存できる形にデジタル変換してきた。

 昨年、一昨年は特に磁気データであるビデオやテープのデジタル化を進めた。磁気メディアは劣化がひどく、再生機器の再販売もみこみづらくなってきている。そのためこの業務には緊急性があり、今のうちに変換する必要があった。何十年も前の理事会のようす、協会賞等贈賞式のようすをデジタル再生できるのはかなり意義があろう。協会設立や運営に尽力された理事・会員らも鬼籍にはいられており、著作物以外の記録は少ない。地方自治体や協会主催のイベント映像は媒体変換を実施し、再生が可能となった。自治体ではこれらの部署が統廃合されて担当者はいうまでもなく、記録さえ雲散霧消しているケースもある。名前のみ知るような方々の声や容姿を改めて確認できた。長谷川町子さんが文部大臣賞を受賞している映像は記念館に寄贈したデジタル化することで貴重な資料が蘇える。

 近年はマンガ規制や著作権法改正等にあたっての声明文など、社会的役割も増しているよう感じられる。しかしポスターや会報にあたると、協会と行政のかかわりはずいぶん前からある。マンガが親しみやすいメディアとして人々に受け入れられたことでマンガ家名を冠した、マンガをテーマにした記念館設立、国民文化祭、講演、漫画賞審査員などへの協力といった協会員たちが果たしてきた社会貢献は数々ある。これらに関しても調査、発表をおこなった。

 発表の形式は漫協ギャラリーでの展示。また「漫画家と社会の相互作用」と題するシンポジウムを予定していたものの、コロナウィルスのため3月24日にライブ配信で実施した。令和2年度もこれを申請し採択された。さらに深くマンガ家たちの活動の記録を調べ、保存管理に努めたい。

平成30年度
4年目のアーカイブ

幸森軍也

平成30年度のアーカイブ事業は寄贈書籍のデータベース化などのこれまでの継続と、協会報と音声テープ(一部)のデジタル化や寄せ書きのデータベース化を新しくおこなった。

また文化庁からの補助金が終了した後の、これら作業を事務局内で通常業務に落としこむためのマニュアルも作成した。作業自体はWebのライブラリーやイベントコーナーですでにおこなわれている。それを収録すればよいので、おおきな業務変更はないはずである。

寄せ書きは漫画賞選考会、贈賞式などの時に参加者らによって描かれて協会に保管されているものの、なかなか日の目を見る機会が少ない。どれほどの数量があり、どんな執筆者によって描かれているのか実態が不明だった。調査の継続は必要ながら今回おおむね判明した。むろん謎の保管物も少なからずあったし、協会地下はマンガ等の原画を保管するのに相応しくない環境であることも明確になった。まあ、保管庫ではなく単なる倉庫のため、多くを期待されても無理だろう。

協会報は設立直後の1965年から継続して発刊されており、漫画史としてみても得難い資料である。そのときどきの話題も記載されており、理事会報告はもちろん個展の告知、新刊の紹介。日本漫画家協会賞の記事や受賞者のコメントも。ただ、協会報には最近まで目次がなかったため、データベース化にあたり見出しも施して検索しやすいよう手を加えた。本号をごらんいただいてもマンガ、写真、記事とも貴重な資料が満載とご理解いただけよう。

これら調査をもとに漫協ギャラリーで平成31年2月下旬より「日本漫画家協会賞の歴史」展を開催した。足を運ばれた方もおられよう。歴代理事長ごとに受賞作を振り返り、写真や協会報も展示した。漫画家自身が主催し受賞作を選定する賞との理念のもと、漫画家協会ならではの受賞作が一覧できた。

平成30年度報告書

平成28年度
管理・利用・用務・夢想

幸森 軍也

昨年度につづいて、平成二八年度も文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業をすすめた。内容は協会に寄贈された著書のデータベース作成。現在六二六〇冊までおわった。さらには保存のため一冊一冊にビニールカバーをつけた。

また協会に保管されていた漫画展覧会のポスターのスキャニング、データベース化を実施した。この中には一九六八年の「漫画一〇〇年」展のポスターも複数枚あり、この展覧会は協会の全面協力のもと実施された。出展者は近藤日出造初代理事長から寺内純一、手塚治虫、ちばてつや現理事長まで約三五〇枚。文字通り錚々たる漫画家さんたちが寄稿している。出展された原稿のほとんどは協会に寄贈され、大宮にある漫画会館に寄託されている。協会にも別途すべてのポジフィルムがある。約五〇年前の開催であり今となっては展覧会のことも原稿のことも記録にたいしてのこっていない。

われわれは原稿の保管状態を確認するために大宮におもむいた。おどろくべきことに湿度管理、温度管理された保管庫に描かれたときとほぼおなじ状態でのこされていた。これを利用しないのはもったいない。実はそこには北澤楽天さんの遺品などもたくさん……。時価数億円?

過去の協会報を調べたら、これらのことがすべて記載されていたのである。

だとしたら協会報は情報の宝庫ではないか。現在の協会報もいうまでもなく超豪華執筆陣によって貴重な写真、漫画、情報など満載なのである。よく読んでみて。ほんとうなら原稿料も時価数百万円?

協会報にはそもそも目次らしいものもなく、執筆者も掲載された漫画や写真もいちいち現物にあたらないとすぐにはわからない。これを一覧性の高いデータベースにすべきではないだろうか。

こうして見まわしてみると貴重なものとして保存はされていても管理されていないもの、利用されていないものはけっこうある。日々の雑用に追われて管理まではなかなかできないと、実感される方も多いのではないか。たとえば写真。撮るだけで撮影日時や場所、誰が写っているかが記録されていないと他人からはもうわからない。たとえばビデオ。たとえば音声テープ。これらはデジタル化しておかないと、素材の劣化により、または再生機の故障や製造中止で再生できなくなる。もちろんデジタルが万能ではないが。漫画家さんなら似顔絵や一コマ漫画、カットなどもいつ描き、掲載された作品とまでしっかり記録されているだろうか。管理されていないと利用もできないのである。

このような手間ひまかかる作業を後世の利用のためにしっかりと監督しなさいと、文化庁が補助金を交付してくれているのだ。ありがたい。平成二九年度も助成金がおりれば協会報のデータベース化、写真や音声テープのデジタル化などを目指したい。公開や利用方法については検討が必要であろうが。

例によって素材をお持ちの方は是非ご協力ねがいたい。

平成28年度報告書 1
平成28年度報告書 2

平成27年度
協会の活動、会員活躍の記録

幸森 軍也

日本漫画家協会には設立以来会員から寄贈された著書などの書籍や個展の案内、また協会がかかわったマンガ展のポスター、チラシが膨大に保管されている。

しかしながらどのような物がいったいどれくらいあるのかを会員が知る方法はない。というよりも誰も実態を知らない。これを公開するためには、それぞれ調査しデータベース化しなければならないのである。ひと口に調査といってもけっこう労力と費用がかかる。

文化庁では平成二二年度から「メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業」をすすめており、そのなかで「メディア芸術データベース(開発版)」を整備した。国立国会図書館や京都マンガ国際ミュージアム等が所蔵しているマンガ書籍や雑誌を調査し、単行本二五万冊、雑誌一五万冊を収録した。広報が行きとどいていないためこれを知る人は少ないし、使い勝手も良いとはいえないものの、文化庁も意外とマンガのために仕事をしているのだ。是非たたえたい。

このデータベースをさらに充実させていく目的もあり、平成二七年からメディア芸術アーカイブ推進支援事業として文化芸術振興費からさまざまな団体が所蔵するいろいろな資料についてもデジタル化のための補助金が助成されることとなった。文化庁も意外と予算を持っているものだ。是非たかりたい。

そういうわけで協会でもこれに申請を行い、蔵書とポスターのデジタル化、データベース化に着手した。現時点で三四四三冊の単行本、二四九枚のポスターをデジタル化できた。このなかにはおそらく協会にしかない書籍や冊子も数多く含まれ、これが記録されることで協会員の活動、活躍が後世まで伝えられる。協会資料の全容もいずれ明らかになるだろう。すべての処理が終わったあかつきには、協会のホームページで公開できるようになるかもしれない。

マンガ展のポスターから構築されるデータベースは、実はこれまでこの世に存在していなかった。協会以上にポスター、チラシを一括して収集している組織・団体がなかったからだ。すなわち前代未聞の試み、挑戦となった。

平成二八年度も文化庁よりこの助成事業を受託して、まずは残余の書籍、ポスターのアーカイブ。これに加えて新たにイベントやパーティの際に撮られた写真やネガフィルムのデジタル化、データベース化を検討したいと考えている。

どれもこれも協会所有の貴重な資料であり、協会の活動、会員の活躍が社会一般に認知され、記録されていく。このことでマンガ文化の発展にも大きく寄与できるはずだ。

この事業にともなって会員諸氏のご協力を仰ぐ必要もでてくるだろう。マンガ文化の発展、協会活動の記録のためにご助力いただけるよう、この場をお借りして改めてお願いいたします。またご著書の寄贈、個展やマンガ展の案内、ポスターの送付もお願いいたします。

平成27年度報告書

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