公益社団法人日本漫画家協会

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令和元年度

2021年02月18日掲載

漫画家と社会の相互作用について

幸森 軍也

 平成27(2015)年にはじめたメディア芸術アーカイブ推進事業は協会内に保管されているさまざまな資料をデジタル化、データベース化することで保存・可視化することが目的だった。約50年間の会員からの寄贈著書、ポスター、協会報、寄せ書きなどかなりの部分を管理・保存できる形にデジタル変換してきた。

 昨年、一昨年は特に磁気データであるビデオやテープのデジタル化を進めた。磁気メディアは劣化がひどく、再生機器の再販売もみこみづらくなってきている。そのためこの業務には緊急性があり、今のうちに変換する必要があった。何十年も前の理事会のようす、協会賞等贈賞式のようすをデジタル再生できるのはかなり意義があろう。協会設立や運営に尽力された理事・会員らも鬼籍にはいられており、著作物以外の記録は少ない。地方自治体や協会主催のイベント映像は媒体変換を実施し、再生が可能となった。自治体ではこれらの部署が統廃合されて担当者はいうまでもなく、記録さえ雲散霧消しているケースもある。名前のみ知るような方々の声や容姿を改めて確認できた。長谷川町子さんが文部大臣賞を受賞している映像は記念館に寄贈したデジタル化することで貴重な資料が蘇える。

 近年はマンガ規制や著作権法改正等にあたっての声明文など、社会的役割も増しているよう感じられる。しかしポスターや会報にあたると、協会と行政のかかわりはずいぶん前からある。マンガが親しみやすいメディアとして人々に受け入れられたことでマンガ家名を冠した、マンガをテーマにした記念館設立、国民文化祭、講演、漫画賞審査員などへの協力といった協会員たちが果たしてきた社会貢献は数々ある。これらに関しても調査、発表をおこなった。

 発表の形式は漫協ギャラリーでの展示。また「漫画家と社会の相互作用」と題するシンポジウムを予定していたものの、コロナウィルスのため3月24日にライブ配信で実施した。令和2年度もこれを申請し採択された。さらに深くマンガ家たちの活動の記録を調べ、保存管理に努めたい。